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ヒデはやしの部屋Vol.17スライトエッジ開発秘話1

みなさまご無沙汰しております。
今回のヒデはやしの部屋はECLIPSEの代表作スライトエッジシリーズについて少し触れてみましょう。

スライトエッジ90がこの世にデビューしたのは今をさかのぼること5年前のことでした。
2年に渡る、構想、開発期間を得てこの世に生を受けたスライトエッジ。


※左は初期プロト、中は中期プロト、右は最終プロト

開発当初のコンセプトを振り返ってみると・・・。

微細動アクション
非常にタイトなふり幅のタイトロールアクションを追究。これは究極にスレの進んだ状況で大きなアクションでは見切られるという観点からアクションを決定。イメージとしてはストレートワームのテールの微妙な波動に近づけたかったのです。
実際に逃げ惑うベイトを観察してみると、派手なアクションでなく一生懸命に逃げるために非常にタイトなアクションをしています。これは無駄な体力を使わずに高速で捕食者から逃げるために必然なことなのです。コレを自分に置き換えてみると簡単で、ジョーズに狙われているのに悠長に平泳ぎや背泳ぎしているわけにはいきません。もうなりふり構わずにクロール+バタ足で泳ぐハズです。それもかなりタイトな足の振り方で。
(この状況でバタフライして逃げるという方がいたら、ある意味尊敬します。)
そんな高速で逃げ惑うベイトを演出したのがスライトエッジで追究された微細動アクションだったのです。

引き抵抗の少なさ
これは前項に連動しますが、ふり幅が少ないということは抵抗も少ないということです。細身のシルエットは左右に受け流す水流も少ないため、高速でリトリーブしてもルアーが暴れずに引き抵抗を軽く出来るのです。自分の十八番の音速リトリーブやジャークによるスライドアクションでもロッドへの抵抗を少なくして、連続的なロッドアクションを可能としてます。さらに、終日に渡るロングランな釣行でも非常に疲れを軽減してくれるメリットもあります。

多面体カット
ドリフトペンシルシリーズでも継承された平面で構成されたカクカクしたシルエットは無駄なリフレクションを防いで、一方向へ強烈なフラッシングを発生します。これにより、ギラギラしすぎて逆に違和感をあたえることなく、あくまでバランスを崩した一瞬のキラメキでバイトに持ち込むことを想定しているのです。自然界のベイトフィッシュがいつもギラギラしていたら、目だってしまい、真っ先に捕食されてしまいますよね?(イワシやコノシロなどがグアニン色素で鏡のようにウロコの表面が銀色なのは、周囲の水の明るさや景色を反射することで同化することを目的にしているのではと個人的には推測してます。)
そんなベイトの群れを下から付けねらうシーバスの観点から想像すると・・・。
どれも同じように見えるベイトのなかに横を向いてフラフラおかしな動きをしているヤツを思わず狙っちゃいます。この一瞬のフラッシングをシェイキングなどのロッドアクションで演出できるのがスライトエッジの力なのです。

スライドアクション
さらにバイブレーションプラグでありながら、ダートベイトのような横っ飛びアクションを可能にしたのもスライトエッジ。エギをしゃくるときのような縦方向のジャークとそれによって発生するスラッグで、左右に翻るようなダートアクションを発生します。これは、日中の低活性のシーバスにスイッチを入れることが出来るため、いかにも魚が付いていそうな橋脚周りや足元のエグレなどでターンッターンッとリズミカルにダートさせるのがコツ。いままで気配のなかったポイントからワラワラとシーバスが湧き出るサマは観ていて圧巻です。

シェイキングリトリーブ
春先にボトムに張り付いているときに非常に効果なのが、ロッドティップを細かく振るわせるシェイキングリトリーブ。ラインを張ったり緩めたりすることで、スライトエッジが非常に不規則なフラつきアクションを発生。タダ巻きでは出せないイレギュラーなフラッシングはまさに脳震盪を起こし、痙攣するベイトそのものです。ワームでもプラグでも出せないこのイレギュラーな痙攣アクションはとくに、活性の低い個体の鼻っ面を何回も通すことでイラつかせ、最後には口を使わせてしまう・・・
シーバス版リアクションバイトなのです。通常のスローリトリーブではアクションしないくらいデッドスローでもギラッギラッとしたフラつきアクションでしっかりとアピールするので、ボトムに張り付くシーバス以外にフラットフィッシュやロックフィッシュなど、じっくり見せてなおかつバイトに持ち込みたいときには非常に有効となります。

以上のような特殊な使い方まで想定して作りあげられたスライトエッジ。個人的には使い手の意のままに魚にさまざまなアプローチができる、ハイレスポンスバイブレーションという位置づけのプラグなのです。