REPORT

【ニンベン修行記】Vol.31 ウェーディングを楽しむ為に

ウェーディングとはどんな釣りだろう?

陸っぱりでは届かない場所に行ける
魚に近づける

間違ってはいないが、個人的には少し違う気がする。ボートでも実現できますからね。

水に入り水流や水圧、水温を感じる
つまり魚と同じステージに立つ

こっちの方がシックリ来ます。

 

水中を感じながら思考錯誤
手元に伝わる衝撃
弾ける水面と高鳴る鼓動
眼前に横たわるターゲット

 

 

こんな最高に楽しいウェーディングの釣りにも問題点がある

 

 

アカエイです。

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アカエイは浅海の砂底や泥底を好み、貝類や甲殻類などの底生生物を捕食しています。餌を求めて干潟や人工海浜、河口付近の汽水域など浅場に現れることも多く、ウェーディングをしていると遭遇することが多い魚です。

尾の付け根にはトゲを持っているのですが、これが問題なんです。アカエイは身の危険を感じると、尾を振り回しトゲで攻撃をしてきます。特に5~7月は繁殖期で攻撃的になるため注意が必要です。ウェーディングだけでなく、潮干狩やサーフィン、漁業関係者など水辺で活動する多くの人が被害にあっています。

ちなみにイベント等でお話を聞いた方もいるかもしれませんが、私は過去にアカエイに刺された経験があります。

Toge

これが実際のエイのトゲ。

魚の背ビレのトゲと同様に骨が変化したもので、写真を見ても分かる通り、先端は非常に鋭利で清涼飲料水のアルミ缶をブスブス刺せます。当然ウェーダーも楽々貫通します。そして側面のノコギリ状の小刃は引き抜く際に周囲を引き裂きダメージを与えます。小刃が欠けて傷口に残留する事もあります。

これだけでも極悪なのに、さらに毒があります。

この毒は傷の中の細胞を壊し炎症を起こし壊死を引き起こしたり重症の場合は血圧低下や呼吸障害、さらにはアナフィラキシーショックを起こす場合あるそうです。

私のケースでは刺された直後から左足全体が燃えるように熱くなり、稲妻が駆け巡るような猛烈な痛みに襲われ、立っていられずに倒れてしまいました。一緒に釣りをしていたヒデ林さんに助けていただいたのですが、軽いアナフィラキシーショックも併発していて左半身に力が入らず、とても1人では歩けない状態でした。ヒデさんに肩を借り、猛烈な痛みに耐えながら駐車場まで帰った記憶が鮮烈に残っています。

asi 私が刺された患部の写真です。
非常に生々しいので小さく掲載しています。(クリックすると拡大します。)

 

当然「エイ憎し」と思っていましたが、そもそもアングラーがアカエイの住処に侵入しているワケですよね。そこで釣りを楽しむならば、それなりの備えをする必要があると考えるようになりました。

 

私がアカエイに刺された時に開発していた商品がサバイバルフィート

 

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ウェーディング中のエイによる刺突や切り付けを軽減する目的で作られた、ウェーディングソックスです。

要人警護などに使われる防刃ベストの主要素材ケブラーを使用し、縫い目の広がりを抑える特殊コーティングを施しています。刺突の軽減もですが、切り付けに対しては相当の防御力を発揮します。そしてネオプレーンのフロントバックルは、スムーズな脱着と歩行中や釣りをしている時のズレを防いてくれます。

この商品は、あくまでエイなどの鋭い攻撃を軽減するためのサポートアイテムであり、必ずしも完璧に防御するものではありません。安全に十分留意してお使いください。

 

ですので今回はヒデ林さんに教わった「歩き方」も合わせて紹介します。

雑誌等では良く「スリ足で歩く」と紹介されています。勿論正解です。さらに安全性を高める歩き方が「スリ足に加え2~3歩に一回つま先で地面を蹴る」です。地面を蹴った時の衝撃で近くにいるエイは大抵逃げてくれます。この歩き方を実践し始めてからエイに触れたり踏んだりしたことはありません。是非お試しください!

 

安価ではありませんが、エイの恐怖に怯えて楽しめないのも勿体ないですし、万が一刺された時の被害軽減の意味でも非常に有用な商品です。

ウェーディングを楽しむために、一度装備に目を向けて見てはいかがでしょうか?

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万が一ご自身や仲間がエイに刺された場合、すぐに釣りを止め病院に行きましょう。

すぐに病院に行けない場合は下記の手順をオススメします。

①傷口の洗浄。傷口を洗い毒やトゲなどを除去し消毒します。

②お湯につける。エイの毒はタンパク質なので高温にすると凝固するので患部を(我慢できる限界の熱さの)お湯につけると痛みが和らぐそうです。

③後日病院へ。私が刺された時は、数日後に足がパンパンに腫れました。医者に掛かる事をおすすめします。