REPORT

【ニンベン修行記】Vol.55 PEラインのお話

ニンベン仲村です。
今回はPEラインのお話です。

井上友樹氏監修のヴァリアントPEをご存知でしょうか?

このPEは8本組なのですが、他にも4本組、12本組、最近は6本組などのPEラインが各社から発売されています。

 

話は一旦それますが、皆様はPEラインの〇本組の違いと特徴ご存知でしょうか?

私も少し勉強したので一般的な4本組と8本組で紹介しようと思います。

 

まず、〇本組というのは文字通り、1本のPEラインを何本の原糸で組んで(編んで)いるか?という事です。4本組のPEは4本の、8本組は8本の原糸から出来ています。

号数は太さの基準なので、同じ号数で考えると4本組の原糸は8本組の原糸より太い事になります。

ここで言える事は、4本組の原糸の方が8本組より太いので耐摩耗性(根ズレ)が若干強い事です。ただ、PEライン自体がフロロカーボンなどと比較すると根ズレに強くないので、この耐摩耗性の違いは体感できるかというと微妙です。

逆に純粋に引っ張った時の強度(直線強度)については、原糸の密度が高く編み目がズレにくい8本組の方が強いそうです。同じ1号で4本組と8本組を比較すると、8本組の方がポンド表記が大きいのはそういった理由なのです。

 

それよりも、体感的に変わってくるのが原糸の隙間の方です。
図の黄色の部分がその隙間です。

隙間の大きさを比較すると4本組よりも8本組の方が隙間が小さく、断面が真円に近くなります。この隙間が大きいと、抵抗が大きくなります。

この違いは体感できます。

例えば抵抗が大きい4本組は下記のようなデメリットが出てきます。
・ラインがガイドを通る時の抵抗で飛距離が落ちる。
・波、流れの影響を受けやすい。
・強風時や深いレンジを探る時にスラッグが出やすくなる。
・負荷を掛けて巻き取る時に糸鳴きがしやすくなる。
他にも水中でのラインの水切音が出やすかったり、ゴミや塩などの付着にも影響があるそうです。

真円に近い8本組は上記の逆のメリットがあります。
・飛距離が出やすい。
・波、流れの影響を受けにくい。
・強風時や深いレンジを探る時にスラッグが出にくい。
・巻き取り時にノイズが少なく感度が良い。
他には結束の力の掛かり方がスムーズなので結束強度が強いといったメリットがあります。

 

8本組のメリットばかり書いていますがもちろんデメリットもあります。
原糸の数が多くなると原糸1本あたりが細くなり、編み込みなど技術的な手間が大きくなるので高価になるそうです。細い号柄のPEラインの方が高価なのはそのためです。つまり8本組の方が高価なんです。

 

ざっくりまとめると「8本組は高価だけど、それなりのメリットが沢山あるという事です。

 

話を戻します。
ヴァリアントPEは井上友樹氏が「デカイ魚を獲る!」ために監修した8本組のPEラインです。

井上氏にそのコンセプトを聞くと
魚を掛けるために飛距離と操作性を高め、掛けた魚をキャッチするために強度を高める

当たり前の事をハイレベルで実現するために、徹底的にテストを重ね、ヒラスズキはもちろんヒラマサやクロマグロなどの超パワフルなターゲットを仕留める事でその性能を突き詰めていきました。

ヴァリアントPEは高級ダイニーマ原糸を独自の方法で緊密に編み込み、真円性を高めました。その真円性はガイドリングとの摩擦抵抗、空気抵抗を減少させスムーズにラインを放出させると共に、直線強度と結束強度を向上させました。これは井上氏が一番気を使った点だそうです。

そして8本組のダイニーマにありがちなコシの無さとを改善するために、様々なコーティングを試しライントラブルを激減させました。またPEの泣き所である耐摩耗性の改善にも一役買ってくれています。

 

井上氏のフィールド毎の使い分けを聞くと
干潟や河口などのストラクチャーの無いフィールドなら0.8号。河川などで1号。サーフや磯は基本1.2号。特大サイズや青物などが狙える場所、根が荒い場所で1.5号と全般的に細めの号柄を使用しているそうです。

「タックルバランス、結束、ラインメンテナンス、ファイトと気を使う部分は多いけど、細いラインを使う事で飛距離、感度、操作性のアップなどの8本組のメリットをさらに高める事が出来ますよ♪」と教えてくれました。


このヒラマサは1.2号でキャッチ


このクロマグロは1.5号でキャッチ

最後に井上氏にヴァリアントPEの注意点を聞くと、
・ラインメンテナンスが一番重要。
・コーティングが落ちた部分は切る。
・こまめに結束し直す。

自分も可能な限り細いラインを使用しようと心掛けていますが、ラインメンテナンスを気を付けようと肝に銘じました。